| 光合成細菌PSBとは |
| 光合成細菌の分布と分類 |
光合成細菌(Phototrophic Bacteria)は水圏生物の一種で、水田・沼・河川・海・活性汚濁・土壌中、とくに有機物で
汚染された湛水状態のところには風乾土1g当たり1万〜10万個のこれらの細菌が生息している。
この細菌は光エネルギーを利用して光合成的に生育するが、植物など他の光合成生物とは異なり
光合成的生育をするのは嫌気的で光照射条件下に培養したときだけである。その生育過程で酸素は発生しない。
分類は、現在4科になっているが主に紅色無硫黄細菌(Rhodospirillaceae)の事を称している。
| 光合成細菌の性質 |
この菌の基質利用は、自然界においては、アゾトバクター等と共生して炭酸固定の主役を果たし、
又一部の菌株は脱窒素能も有し、土壌中の硫黄循環と併せて、地球上不可欠の大循環の主役としての役目を
見えざるところで果たしている。
又自然界における浄化の主役である事も確認されている。
| 光合成細菌の組成 |
光合成細菌の一般成分組成並びにビタミンB群の組成は極めて高栄養のものでありアミノ酸組成は、
メニチオン含量が多く動物性蛋白に近い性質を示しており、その消化率もカゼインと同程度である。
とくにB12・ビオチンの含量の優れている事は餌料としての価値の高い事を示しており、
又、菌体の脂質成分としてバクテリオクロロフィル・カロチノイドの他にユビキノン(生理活性物質)が
乾滴1g当たり約10mg含まれている事が判明している。
このように光合成細菌の菌体は栄養的にも優れ、かつ動物に対し毒性がない事など京都府大・金森教授により
確認されている。
| 農業における光合成細菌PSBの役割 |
| 土の化学性の改善 |
光合成細菌の特性として高濃度の有機酸・アミノ酸・糖類等を急速利用しての除去、窒素、炭酸ガスの利用、
硫化水素の除去等があり、これが土の化学性、即ち酸性化の防止、塩基障害の防止、N過剰障害の除去、
老旧田の秋落ち現象の防止等に効果を発揮し、常に作物の生育に対して健全な土の化学性を
保持せしめる事ができる。
| 作物の生殖生長に必要な微量因子の補強 |
植物は栄養性長期にはアミノ酸の一種プロリン、核酸の一種ウラシル・シトシン等を必要としないが、
生殖成長期(開花→結実)には、これらの物質が栄養性長期の数千倍必要で光合成細菌体・分泌物中には、
これらの物質が多量含有され健全な開花結実を促し、増収をもたらす。
また冷害による稲の不稔の原因の一つは、正常粒に対し不稔粒中のプロリン含量は1/3である事が解明され、
光合成細菌施用による冷害の被害防止も可能である。
| 果実の甘味・着色・鮮度保持・貯性の増大 |
前述に示す如く、PSBは多量のカロチノイド・ビタミンB群・未知活性物質等を含有し、
このため果実の糖度の向上が促進され、半熟期でも完熟期の着色となり、間実の栄養分の充実により、
鮮度・貯性が高まり、ツヤ・コクのある果実を作る事が出来る。
| 連作障害(いや地)・水田のイモチ病防除 |
植物は自分自身で揮発性物質(ビネン等)の排出(フチンチッド)により健全な環境を保持しようとする
性質を持ち、又土壌は土壌中の微生物により病原菌の胞子の発芽又は菌糸の生育を阻害する、
いわゆる静菌作用を保持する。
これらの有用な作用を破壊するのは農薬散布・土壌消毒等による有用微生物の殺菌である。
病原菌は殆どグラム陽性菌で、乾燥・熱に強く、厚膜胞子・菌核・卵胞子等の硬い耐久体を作り、
耐久体で1〜6年と生命力は長い。
これに対し、有用微生物は主としてグラム陰性菌で耐久体を作らず、生命力は短く、土の団粒構造、
根によって助けられている。
この病原菌の耐久体は休眠状態で作物に被害はないが、これが発芽すると被害を与えるのである。
この発芽は作物の根により分泌される炭水化物・有機酸・アミノ酸等により引きおこされる。
PSBがこの根圏に常に適量存在すれば、これらの分泌物をPSBの特性により直ちに横取りして消費し、
病原菌の耐久体は発芽しない。
又既に発芽した菌糸もPSBの施用により栄養物質を横取りされ、耐久体を作って休眠状態になる。
即ちPSBにより常に病原菌を耐久体の不活性状態におけば連作障害の心配はないのである。
又これ以外にPSBの施用により放線菌が増殖し、放線菌の働きにより病原菌を溶菌する効果もある。
水田のイモチ病防除も同じ様に、適当な方法のPSBの施用により各地で効果を挙げている。
| 日照不足による生育不良の排除 |
植物の光合成は400ルックス以下では桟作しないが、PSBの受光器官はバクテリオクロロフィルを含有し、
近赤外光を有効に吸収し、500ルックスのような暗い光度のときでも10,000ルックスの明るい照度の
10倍以上もバクレリオクロロフィルの量を出し、増減がカメラの絞りの如く作用する。
このため日照不足時にPSBを用いれば植物の光合成を助けて、正常な生育を確保することができる。
| フェロモン効果による着花(受粉)の促進 |
PSBのもつ、フレバーは昆虫類の絶好の臭いであり、これを開花期に散布すれば、昆虫が誘引され、
完全な受粉が出来る。又逆に昆虫を追払うためには木酢液を用いれば良い。
| そ の 他 |
キノコの菌糸・子実体の発生促進・蚕の蚕座に用いる事により、麹・ウイルス病等の発生を防止し、
かつマユの生産量・品質の向上が可能で使用されている。